彼らが本気で編むときは

 

感想

生田斗真さん演じるトランスジェンダーのリンコ、リンコさんを大好きな桐谷健太さん演じるマキオ、そして親に育児放棄される小学生トモを中心に、自分の性別について悩む子どもとそれを受け入れる親、受け入れられない大人、トランスジェンダーを理解できない人たちと、いろいろな立場にある人の気持ちを丁寧に描いている作品です。

自分がマイノリティであることを公表して生きていくのは未だ大変な世の中で、それぞれにまっすぐ生きていくメインキャラクターたち。

特にリンコさんの姿はとても美しく、観ているだけで何でもない場面に、たとえば桜並木の下で自転車を漕いでいるだけのシーンにも涙を我慢できなくなってしまいました。

また印象的だったのは、自分の性別と体の性別が違うことに悩む子どもを受け入れられず、限界まで追い込んでしまう、小池栄子さん演じる母親です。

リンコの悩みを一度も否定せずに受け入れた母親とは真逆の、悪役ともいえる人物ですが、観客としては親心ゆえに子どもの現実を理解したくない気持ちもわかってしまいます。

それを発露してしまう弱い人物であるとはいえ、100%の悪だとも言えないところに、この問題の難しさを感じました。

偏見はいけない、どんな人でも素晴らしいと直接的なメッセージで押し付けるのではなく、ただ美しく生きていくリンコさんをはじめとする登場人物を映し出すことで、素直に「自分以外の人をただ受け入れて生きればよかったんだ」と気づかせてくれる映画です。感想