手紙は憶えている

 

感想

妻を亡くした90歳のゼブ・グッドマンは、友人からの手紙を元に、70年前にアウシュビッツで家族を殺したナチス将校に復讐するための旅に出ます。

しかし、彼は認知症を発症しており、眠るたびに妻が死んだことすらも忘れてしまいます。

その度に手紙を読んで記憶を取り戻さなければならないのです。

はたして彼は目的を達することができるのか、というサスペンスドラマです。

 

記憶がリセットされてしまう主人公の映画と言えばクリストファー・ノーラン監督の出世作『メメント』を思い出します。

あの主人公は妻を目の前で殺されたショックで記憶障害になるのですが、妻を殺した犯人に復讐するために手がかりを体中に刺青していました。

本作でも、ゼブが「手紙を読む」と手にメモするシーンがあります。

よぼよぼの老人が人を殺すための旅をするというだけでもハラハラするのですが、しかもボケ始めているということでプラスのサスペンスが生まれます。

 

コメディーにならずに物語の重厚さを失わないのは主演のクリストファー・プラマーの存在感が大きいと思います。

彼に復讐を託す友人・ザッカーはゼブが認知症であることを知っているのでいちいち連絡を取り、執拗に状況を確認します。

それがだんだん違和感になっていくのですが、果たして物語は大きなどんでん返しの結末へと向かっていくのです。

 

若干、中盤でネタが分かりかける部分もあるのですが、それを置いてもよく出来た映画だと思います。

アウシュビッツの当事者が高齢になり、存命な者も少なくなってきている中、こうした作品がリアリティを持って作られるのも今(公開当時2016年)が最後かもしれません。

そういう意味でもリアルタイムで見ることができて良かった映画です。感想